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自然エネルギー通信

2015.01.27 
エネルギー

電力広域的運営推進機関ってなに?

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現在日本では、「安定供給の確保」、「電気料金の最大限の抑制」、「需要家の選択肢や事業者の事業機会拡大」を目指し、電力システム改革が進められています。
この改革は

 1. 広域系統運用の拡大(2015年予定)
 2. 電力小売業への参入全面自由化(2016年予定)
 3. 法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保、電気小売料金の全面自由化(2018~2020年予定)

の三段階で進められる予定です。

その第一段階、「広域系統運用の拡大」を進めるのに最も重要な役割を果たすのが、この「電力広域的運営推進機関」(以降、広域機関)です。

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さて、この広域機関ですが、どのような位置づけの組織でしょうか。

広域機関は、国から「認可法人」として活動を開始することになっています。国への各種報告を実施したり、国の指示を受けて業務を遂行したりと、国との連携を密にとりながら運営されていきます。

また、すべての電気事業者は広域機関の会員として加入が義務づけられており、電力の供給計画や需給/系統運用に関する報告も義務づけられます。

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広域機関はこうした情報をもとに、司令塔となって各電気事業者へ需給調整業務を指示し、安定供給を確保していくことになります。
このことから、広域機関には「公正」、「中立」、「透明性」を保つことが求められます。

さて、この広域機関が、具体的に担っていく役割は次のとおりです。

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 1. 運用業務(広域周波数調整)
 2. 計画業務
 3. 系統アクセス業務
 4. 設備形成
 5. 需要家のスイッチング支援

1. 運用業務
広域機関は、いままで各電力会社が担ってきた各電力エリア内での需給運用の一部と、各エリア間の各種電力調整を行ってきた電力系統利用協議会(以降、ESCJ)の運用業務が引き継がれます。
通常時は各電気事業者から需給計画や送電設備や電源の作業計画、連系線の利用計画を収集し、一般送配電事業者と密にコンタクトをとりながら適切な給電計画をとりまとめ、運用します。
広域機関は広域運用の司令塔として、全国レベルでの監視を行い、実際の需給バランスを常に監視し、各電力エリアの中央給電指令所へ指示/調整する業務を行います。

また、災害等で需給が逼迫した場合は、電源の炊き増しや、各電力エリア間での電力融通を指示します。

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もう一つの運用業務として、広域周波数調整という業務があります。

再生可能エネルギー発電による電源は変動が大きいため、各電力エリア内での需給調整力、周波数調整力をもとに受け入れの検討がされてきました。そのため、各電力エリアによって、その受け入れ枠が制限されてきました。
これを広域機関が複数エリアにまたがる連系線を利用して、複数エリアで「広域的周波数調整」を行うことで、エリア内の制限を拡大できる可能性があります。

つまり、再生可能エネルギー発電に適したエリアから、電力消費の大きいエリアに、連系線を通じて電力を送ることで、再生可能エネルギー発電の導入量を増加することが可能になります。
これは再生可能エネルギー導入拡大のための、有効な施策として期待されています。

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2. 計画業務
いままでは、電力需給に関する短期/長期の計画業務に関しては、一般電気事業者が各エリア内の需給予測データ、供給計画を国に提出していました。
また、特定規模電気事業者等も、報告徴収により国に供給計画を提出し、ESCJはそれらの情報をもとに、供給信頼度評価を行ってきました。
広域機関の運用開始後は、これらのすべての業務が広域機関で一元的に実施されることになります。各電気事業者からの報告をうけ、需給想定、供給計画のとりまとめ、供給信頼度評価を実施します。

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3. 設備形成
広域系統連系設備に関しては、従来はESCJが設備形成ルールに基づいて運用を行ってきました。
広域機関の運用開始後は、全く新しいプロセスルールをもとに広域機関が運用を実施します。 いままでと違い、設備形成の起案者に国も加え、その間口を広げたほか、特定負担者募集や実施案の公募等、新しいルールが導入されています。

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4. 系統アクセス業務
いままで、発電事業者や小売事業者からの電源等の系統アクセスに関する申込みは、一般電気事業者のみが受け付けてきました。
今後、出力が1万kW以上の電源に関しては、広域機関に対しても申込みを行えるようになります。
これは、申込者と一般電気事業者の間に広域機関が入ることとなり、一般電気事業者からの回答を広域機関が中立的な立場で妥当性評価を行い、必要に応じて一般電気事業者に再検討指示をすることができるようになります。
中立性を担保した系統アクセス運用が可能となります。

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5. 需要家スイッチング支援業務
いままで説明してきた役割は、電力の広域的な需給バランスを保つための役割でしたが、もう一つ、広域機関に課せられた役割として、「需要家スイッチング支援業務」があります。
これは、2016年4月から開始される電力小売全面自由化にともない、需要家が独自の判断で電力の小売事業者を自由に選定でき、かつ、スムーズに小売事業者を切り替えられるよう、支援する業務です。
小売事業者を変更する場合は、託送契約の変更や小売契約の解約、新規契約など、複数業務の発生が想定されますが、それらの手続きが煩雑にならず、簡単な手続きで切り替えができる ようにシステムを通して支援する業務を実施します。

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広域機関の立ち位置、役割について紹介してまいりましたが、この機関は「電力自由化」「電力システム改革」にとって、非常に重要な役割をもちます。
2015年4月から正式な活動を始め、2016年4月からは、まったく新しいシステムの下、運用が開始されます。

2011年3月11日....
東日本大震災という未曽有の災害からもその必要性を問われている「電力システム改革」。
それを実現するための、電力広域的運営推進機関。
しっかりと稼働できるよう、心から応援していきたいですね。

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