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2021.10.06  New
10周年特集

「情報革命を支える自然エネルギーの普及促進を」-三輪社長、稲桝副社長、神田管理本部長、鈴木経営管理本部長、齋藤技術本部長インタビュー

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SBエナジー設立10周年を振り返る経営陣インタビューシリーズ最終回は、三輪茂基SBエナジー代表取締役社長を中心に、稲桝 徳仁CFO(※1)兼 取締役副社長、神田 直記 CCO(※2)兼 管理本部長、鈴木ゆづる経営管理本部長、齋藤 桂一郎技術本部長にお話を伺いました。(以下敬称略)
※1 Chief Financial Officerの略
※2 Chief Compliance Officerの略

1. Interviewees collage.png
Q: 10年を振り返っての思いをお聞かせください。
三輪: SBエナジーの創業者である孫会長(取締役会長、ソフトバンクグループ株式会社(SBG) 代表取締役 会長兼社長執行役員)の事業家、企業家、資本家としての慧眼という以外ないですね。
10年前に東日本大震災があった際、孫会長が当時のソフトバンク(現 SBG)社長としての仕事を離れエネルギー問題に取り組む、福島に行くとおっしゃったんですよ。それから10年経った今、ESGやカーボンニュートラル、電力調達をどうするか考えない経営者ってこの時代にはもういない。だから、私はやはりSBエナジーの創業者である孫会長の先見性に心から敬服します。
この10年間、去っていったメンバーもいますが、SBエナジーは小さいながらも、エネルギー事業という新しい事業の中で、世の中に一石を投じるようなことを主導してきたんじゃないかなと思います。
この10年間を糧に新しい10年を見据えて、さらに飛躍していかなければいけません。

2. ND6_7154_rs.jpg 稲桝: ソフトバンクグループがエネルギー事業を立ち上げたきっかけは10年前の震災と福島第一原子力発電所での事故であることは間違いありません。でも、原発の事故に反対なら、「原発反対」と言えば良いだけじゃないですか。そうではなく、再エネを進めると孫会長がおっしゃったのは、ただ単に原発が良くないから反対するのではなく、もう一段踏み込んで、「この先これが伸びていくであろう、事業としても成り立つであろう」という考えがあったからだと思います。今でいう脱炭素みたいに、クリーンなエネルギーを進めて、普及させていくんだと言うために再生可能エネルギーの事業を立ち上げ、それをビジネスの柱にしていくんだと即座に打ち出されたことは、やはりそういう先見の目があったのだと、私自身すごく実感していますね。

3. Inamasu_1_ND6_7290.jpg神田: 私は震災当時、一度ソフトバンクグループから出て他社で働いていました。「ソフトバンクの孫さんが再生可能エネルギー事業を立ち上げる」という話を聞いた当初は、原発が良くないから、原発に代わるエネルギーとして再生可能エネルギーを立ち上げるのかなと単純に思っていました。ところがその後、ご縁があって8年前にソフトバンクグループに戻り、SBエナジーに来て2年半が経ちますが、世の中はすっかりカーボンニュートラルの流れになっていますよね。そういう意味では、原発の代わりということではなく、カーボンニュートラルという意味で再生可能エネルギーがこれから非常に重要になってくる事業ですし、それを10年前から孫会長が見据えていたという、先を見る目にすごく感動しています。

4. Kanda_1_ND6_6921_rs.jpg三輪: 孫会長のことをビジョナリーと思っているのは、近年再生可能エネルギー事業が注目されてきている以外にもう一つ理由があって、今、世の中の最大の電力消費産業はAI・IT産業だということ。孫会長は「我々は投資家ではなく情報革命の資本家なんだ」と説明されていますが、現在このIT産業こそが電力の最大消費産業になりつつあるわけです。それを支えるエネルギー事業に先手を打った。そう考えると、10年前に再生エネルギー事業を始めたこの決断は実にロジカルな訳です。孫会長の戦略眼が一貫していることをこの10年が証明しています。孫会長が見ておられる先というのは、これからもSBエナジーの将来をナビゲートしていく羅針盤になると思います。


Q: 2017年に三輪社長が率いる現在の経営体制がスタートした際、「BMW戦略」を打ち出しました。改めて、「BMW戦略」とは何かお聞かせください。
三輪: 2017年10月1日の社長就任の時にまず申し上げたのは、BMW戦略は会社の競争戦略であり、成長戦略であり、どうやって差別化して事業を拡大していくかということです。
一つは内部のリソースの観点からで、これから外部環境の変化で起きていくことと、その中でSBエナジーが小さいながらもいかに競争していくかについてです。競争していくためには差別化しなければいけませんし、比較優位があればそれを生かしていかなければいけません。それには、エネルギーをエネルギーだけとして見ないことが必要です。例えば、旧一般電気事業者のような日本の電力会社や総合エネルギー企業とガチンコの勝負をしたら、人もお金も、経験もノウハウも、持っているアセットでも、絶対に勝てるわけがない。じゃあその中で、ソフトバンクグループがソフトバンクグループらしく、自分の土俵で、あるいは自分がもっているものを最大限にレバレッジして、勝負していけるものがあるとしたら何なのかと考えたんですよね。
次に、外部環境の観点からは、単に川上資産として自然エネルギーの発電設備を開発するだけではなく、どういうところに向かっていくか。AIとIoTとの融合に進んでいくだろうなとか、川上に持っているリアルアセットを川中、川下に生かしていくことこそが、我々の競争のやり方なんだろうなと考えました。それがまさに「BMW」です。この話は就任初日から言っていることです。当時は正しいかどうかはわからず、結果は追々出ることになりますが、これは本当にそうだった。今のところ世の中はこの方向に向かっています。
あともう一つは、エネルギー事業は「インフラのインフラ」だということです。よく例えに用いるのですが、人間の体と一緒だと思うんですよね。人間の高度な営みを司るのは神経系ですが、その高度な営みには、呼吸器系や循環器系がないと成り立たない。社会に置き換えると、神経系はAI・IoT、呼吸器・循環器系はエネルギーで、そのままのアナロジーが成り立ちます。そして人間の体も血管はきれいじゃないと大変ですよね。自然エネルギーによるカーボンニュートラルの取り組みは、まさに人間の体とのアナロジーとして合致しています。
そしてSBGがAI情報革命を担う主要な資本家であればこそ、最大の電力消費産業であるIT産業のグリーン電力調達に最大限資すること、それがSBEが果たすべき使命でもあるだろうと思います。

5. BMW Strategy.png
Q: SBエナジーは「Watts事業」を通じ、10年間で日本全国50カ所に約773MWの合計出力規模を持つ発電設備の開発と運転を手がけてきました。この実績についてはどう評価していますか?
三輪: 懸命に愚直にやってきたと思います。我々の会社に賛同して集ってくれて、中には去っていった仲間もいますが、この10年間、その時々で最善の努力をして精一杯やってきた結果だと思います。
この10年間、さまざまな制約やリスクがある中、日本でも有数の、最大級の規模にまで成長を遂げました。この50カ所、800MW近い川上資産が持っている潜在的価値が1だとすると、これから2にも、3にも4にも増えていくと思うんです。それがまさにBMW戦略で、川上のリアルアセットをもって、川中・川下を俯瞰することに尽きると思っています。そのためには、ソフトバンクグループらしい優位性が発揮できるBMW戦略のもと、さまざまな合従連衡とか、パートナーシップの組み方がいろいろあると思います。

6. Miwa_2_ND6_6964._rs.jpgQ: 国内50カ所の発電所開発で蓄積してきた知見は、どのような重要性を持つのでしょうか。
三輪: 異なるさまざまな種類のパネルやPCSの使用に加え、さまざまなEPC、さまざまな自然環境で事業をしているということなので、そこにはデータが詰まっています。つまり、「出力規模何MW」というサイズではなく、「50カ所」の方が重要で、そこにバリューがあるということです。それぞれの異なる自然環境下で、ありとあらゆるメーカーの製品やローカリティの経験が重要なのだと。我々は1MW~100MWくらいの規模でやっていますが、50カ所の知見からデータの意味の持ち方という新しい視点が出てきたと思います。
例えば日本に10カ所しか発電所を持っていなかったとして、それが北海道あるいは九州にしかないのと、北海道・本州・四国・九州と均等に10カ所持っているのでは、どちらの方がバリューがあるかと言ったら後者です。その意味では、SBエナジーの50カ所というのは、北海道から九州のほぼ北から南まで、幸い全体に遍く分散しているので、この50カ所の持ち方が、全体としてのデータの重要性を増していると思います。

7. Power Plant_JP Map.png Q: 2017年の新体制発足時には、BMW戦略と併せて、自然エネルギー発電のグローバル展開を掲げてきましたが、2020年初めに発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延は、エネルギー事業だけでなく世界中のグローバルビジネスに甚大な影響をもたらしました。SBエナジーは今後、国内と海外の発電事業のバランスをどのように考えますか?
三輪: 海外事業の視点には、実は孫会長が掲げるアジアスーパーグリッド(ASG)構想が原点にあります。そのため、SBエナジー初の海外事業は電源地域として見込んでいるモンゴルから始め、ゴビ砂漠で50MWの風力発電所「Tsetsii Wind Farm」を運転しています。ASGの実現にはまだ時間がかかると思いますが、粛々と進めていくテーマだと考えています。
順を追ってという意味では、現在の日本の場合は国内での広域連系、すなわち地域間連系の増強の議論をしているわけです。既存の陸上ルートだけでは限界があるので、日本海・太平洋で海底ケーブルを用いて日本の地域関連系を含めたグリッドの整備をやることが最重要課題として位置づけられていますが、その先にあるのはやはり海外連系。再エネ導入量の増大をもたらし、グリッドの安定化に資するので、その方向に行くと思います。このような背景がありモンゴル事業もやっているので、さまざまなリスクを見ながら、現実的かつ創造的に海外事業も引き続き検討していくということかと思います。そして、国際送電という観点でみる際の一つの視点はやはりASGだと思います。
アフリカ・中東に関しては、現在中東のファンドへの出資を通じて間接的に進出し、知見を涵養しています。モンゴルではローカルパートナーと組んで、風力発電を行っています。また、ドバイとシンガポールには拠点を置き、駐在員を派遣しています。やはり世の中はもうグローバルに不可分に依存しあっていますから、海外からの知見は今後生きてくるだろうなと思います。


Q: 発電事業に関しては、2022年度にこれまでの固定価格買取制度(FIT)からフィードインプレミアム制度(FIP)への制度移行が行われます。FITに依存しないビジネスモデルの構築に向けた取り組みや、今後の課題について、教えてください。
三輪: これからは発電事業者が需要家となる企業と直接売電契約を結ぶコーポレートPPA(CPPA)の時代になっていきます。重要なテーマです。

稲桝: 我々は10年前、FITを活用して再エネの資産を積み上げるところからスタートしたわけですが、今後はFITに依存せず、企業に電力を直接届けるCPPAに世の中がどんどんシフトしていくだろうという観点から考えると、我々が北海道から九州まで全国50カ所でやってきた知見がいよいよ生きてくるだろうと思います。
FIT制度下では、電気を作れば全量買い取ってくれたのですが、FIPに移行するとそうではなくなります。今後は電気の買い取りが交渉事になると、やはりいろいろな場所に経験値を持っているのは一層我々の強みになってくると思っています。裏を返せば、それがSBエナジーの課題でもあるので、これまでの知見をどう活用していくか、いかに使えるものにしていくかというのが、我々が求められていることだと改めて思います。

8. Inamasu_2_ND6_7300_rs.jpg 三輪: 会社の戦略を考えてどのように競争していくか、どう生き残るかの策がBMWだと説明しましたが、もう一つ考えたのは、いよいよハンディキャップなしで競争しなければいけないということです。FIT制度下の事業は、送電網に対する投資やメンテナンスなどの整備もせず、電力事業の「いろは」の「い」、一丁目一番地の需給調整、バランシングのリスクも取っていません。国の保証ですから与信リスクもありませんでした。
作った電気は全量買ってもらえる。途中からカーテイルメント(出力抑制)はありましたが、基本はリスクフリーで、新設発電所の電力を20年間、100%買い取り保証してくれるというのは、国の政策として再エネを一気に増やすという点では意味があったと思います。実際、我々が参入した2011年に5GWだった太陽光発電の導入量はこの10年間で14倍の70GWになり、陸上風力は1.5GWから5GWになりました。これは世界でもまれな成長率です。
これを達成したのは制度設計のおかげだったので、これから我々はlevel playing field、つまり公平な競争の土台でこれからはやっていかなければなりません。そこでどうするかが「BMW戦略」です。すでに電源資産を持ち、人材とノウハウを持っている多くのプレイヤーとガチンコで勝負を挑まないといけなくなった時に、「どうやってやっていくの?」ということを考えると、例えば世界有数の気象情報プラットフォームを開発提供するTomorrow.io(旧ClimaCell)に投資して、供給と需要を正確に把握することで電力のマッチングに取り組む。あるいは、技術にいち早く目を向けるとすれば、Mobility事業で手がけているバッテリーの分野で、自動車用のEVバッテリーもそうだし、定置式の大きいバッテリーにも知見がいるということで投資しました。このような形で、全部BMW戦略につながっているんです。
そこには同時に危機感もありました。「FIT制度のような、こんな恵まれた状態がいつまでも続くのか?」と。


Q: Bits事業で取り組んでいるバーチャルパワープラント(VPP)の分野では、経産省の実証事業のほかに、蓄電リソースにロボットを用いる独自実証や、出資先の天気予報システムの活用など独自の取り組みが見られます。SBエナジーは、VPP事業を通じてどんな姿を目指しているのでしょうか。
三輪: やはりソフトバンクグループらしく、BtoCの世界で圧倒的なものを作り上げるということだと思います。世の中ではBtoB、ビジネスの世界で新しいことをやり、それをBtoCでコンシューマーに広げることは一般的によくあります。けれども、戦略が分かれてくるのは、例えば通信会社だと既存の局舎を使っていくという戦略も取れるのに対し、ソフトバンクグループのような企業だと、グループのテクノロジーやコミュニケーション分野の強みを生かして、いち早くBtoCの世界でVPP的なものを作り上げていく。もちろんBtoBもやります。
一般コンシューマーに生活視点で寄り添うということ。例えば行動誘発を伴うVPP実証にも力を入れていてLINEを用いた通知システムを組み込んだ実証にも取り組んでいます。また、最近ではロボットを蓄電リソースとして活用するVPPシステムを用いた実証もあります。

6. Miwa_2_ND6_6965 (2)_rs.jpg Q: SBエナジーが見据える「AIとテクノロジーの融合」は、将来的に人々の暮らしに何をもたらすのでしょうか?
三輪: SBエナジーが持っている川上のリアルアセットを、ソフトバンクグループの他の会社が持つアセットと組み合わさることで、川上・川中・川下で一貫した、生活者目線での電気です。これから世の中にはもうもう一回、電気の世紀が来ると思っています。最初にも話しましたが、AI革命、情報革命を支えるのは電気じゃないですか。

稲桝: そうですよね。すべてを起動させるのは電気。AI・テクノロジーと電気の融合は、そこで親和性が最も高いはずですよね。

三輪: すでにそういうことが起きていると思いませんか?その中でも、我々が期待しているのはSBGが出資したExegerです。Exegerが発明・設計・製造を手がける画期的な太陽電池技術「Powerfoyle」も、光発電の技術を我々の日常生活に近いところに応用していくということから、かなり新しい再エネ事業だと思います。いつでもどこでもきれいな電気っていうのが必要な時代になっているので、それを実現できるように取り組んでいくということかと思います。
もっと電気的に言えば、電力事業の本質でもあるバランシング事業なんですよ。電気を作る、電気を使う。VPPはまさにバランシング事業なんですよ。本当に電力産業に入ると言うなら、本質はここです。
川上で電気を作ることも、もちろん祖業としてやっていくけれど、今後はFITの恵まれた環境からlevel playing fieldで勝負していく時に電力事業とは何かと改めて考えてみると、電気を作ってマッチングさせなければいけない。バランシングが必要になります。だとすると、このバランシングのところで上手に競争していこうと。しかも、川上のリアルアセットと組み合わせれば、小さいながらも競争に勝てるぞ、と。あるいは、面白い事業ができたりするかもな、と。後知恵ではなく本当にそう思ってます。


Q: Mobility事業は、「エネルギーのタイムシフトを用いた輸送のパラダイムシフト」を掲げ、川下でコンシューマーへバリューを届ける事業です。現時点ではAultonとの戦略的協力契約に見られるように、蓄電・バッテリーによる「マイレージへの変換」が挙げられていますが、「エネルギーのタイムシフト」がもたらすバリューは、どのような広がりを見せるのでしょうか?
三輪: マイレージへの変換というのはまさにバランシングそのものです。電力事業はすべてバランシングなんですよ。
今でも覚えているのが、2018年に発生した北海道胆振東部地震に伴う、北海道の全停電です。あの全停電の時に、EVが発電源としてみたいな発想もありました。つまり、需給弁として活用するという、そのままの根源的な意味がやっぱりあると思います。
例えば日本の水力発電は、実は、揚水発電が多いんですね。EVのバッテリーは揚水発電にもなると思っています。揚水発電では電気が余っている時にその電気で水を高い位置に汲み上げて、電気が必要な時にそこから落とし、運動エネルギーと位置エネルギーで水力発電ができます。これもバランシングということだと思います。

10. Miwa_4_ND6_6953_rs.jpg稲桝: まさに、「エネルギーのタイムシフト」がすべてじゃないでしょうか。バランシングも、電気を生み出すタイミングと使うタイミングが、必ずしも一致しないから苦労するわけですよね。そこでそのタイミングをどうやって一致させるかと言うと、タイムシフトできる機器があったらコントロールしやすいわけです。そのタイムシフトに一番適しているのが、おそらくEVのバッテリーだろうと我々は思っています。最終的には川中のバランシングに成果を求めているので、やっぱりMobility事業は一つの重要な柱なんだよねっていう考え方なんです。

11. Inamasu_ND6_6977_rs.jpg Q: 電力事業を支える技術面についてお聞きします。この10年間で発電所の運転管理に求められる技術要件は大きく変化したと思います。現在あるいは今後の発電事業に求められる技術とは、どのようなものでしょうか?また、技術本部はBMWの流れにどんな形で関わっていくことになりますか?
齋藤: SBエナジー設立当初は、今まで電力会社がエリアごとに区分けされた中で、右も左もわからない人たちが集まり、FITという国の補助や助成はあったものの、手探りで進めてきた部分があると思います。そういった中で、当初は発電所の設計・調達・建設を依頼するEPCや、発電所の運営管理をするO&M会社に協力いただきながら、自分たちでも考えながら進めてきたと思います。
ただ、10年が経とうとする中で、自立すると言うか、例えば設計や維持管理とか、何か起きた時の判断を行う中で、リスクを自分達で負いながら、都度判断して、最適を目指してきたことが、この10年で培ってきたものだろうと思います。
FITの次というところでも、自分達でお客さまを獲得していかなければいけない。競争世界で自分たちが主体的に、自立的に打ち勝っていかなければいけない中で、今までの経験を踏まえて力を発揮していくことが今後求められると考えています。

12. Saito_1_ND6_7350_rs.jpgQ: 経営管理の面では、10年前から大型案件の資金調達で他に先駆けてプロジェクトファイナンスを手がけるなど、当時から斬新な工夫がありましたが、その頃と比べても、プロジェクト管理や資金調達の複雑性が増してきているかと思います。現在の自然エネルギー事業における資金調達やプロジェクト管理では、どのようなことが求められているのでしょうか?
鈴木: 私は2012年に入社して以来、大小問わずさまざまな案件に取り組んできましたが、やはりこれまでの10年はFITという恵まれた制度の恩恵に拠って立ってきたと思っています。
今後は、FITに依存しない世界にシフトしているとも意識している一方で、世の中にはESGやカーボンニュートラルの波が来ています。ハンディキャップのない世界で今後は競争していかなければいけない中で、ファイナンス面での複雑性も難易度も上がっています。これまでの経験で得た知見がそのまま活用できないという局面も増えてくると思いますので、「第二創業期」とも捉え、さらに10年を見据えてやっていくには、皆で知恵を絞りつつ、今までの知見を活用しながらも、そこにとらわれず柔軟にやっていくことが重要だと考えます。そして皆で力を合わせて一つ一つ解決しながら、少しずつ大きなビジネスを作っていきたいと思っています。
当面の課題としては、私たちの強みであるさまざまな情報や経験をいかに活用するのか、その仕組みを作り上げることだと思っています。

13. Suzuki_1_ND6_7477_rs.jpg Q: 事業の拡大に伴い、内部統制やリスク管理も日々アップデートを求められると思いますが、それらも含めて、事業のさらなる拡大を支えていく人材の重要性はより増していると思います。SBエナジーが求める人物像についてお聞かせください。
神田: 3つありますが、まず第一に、再生可能エネルギー事業に強い関心を持っていることが非常に重要です。また、その普及や拡大を通じて温暖化ガス削減を実現し、社会全体への貢献に取り組みたいという熱い思いをもっている方が望ましいと思っています。
2つ目は、我々はソフトバンクグループの一員として「No.1」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」という5つのバリューからなる「ソフトバンクバリュー」という価値観を共有しています。この5つを実践できる方が望ましいですが、中でも「努力って、楽しい」というバリューに共感できるような方ですね。
3つ目は、何事にも自律的、積極的に問題解決に取り組む姿勢をもっている方です。グループ全体にもSBエナジーにも言えることですが、我々を取り巻く業界は環境変化が激しいです。時には朝令暮改のようなことも起きます。そのような変化に対応していけるような適応力、言い換えれば、そのような変化や環境を楽しめる方が、SBエナジーが求める人物像だと思っています。

14. Kanda_2_ND6_6943_rs.jpg Q: 自然エネルギーの普及促進という大きなテーマに対し、SBエナジーの今後に向けたみなさんの意気込みを教えてください。
齋藤: 建設や運営をはじめ、発電所の現場に最も近い部門が技術本部だと思います。そのため、現場に関して責任を持つというところが、他の本部とは違うかなという感じはしています。
これまでの10年は、Watts中心で川上の資産を積み上げることが中心で、技術本部もそこがメインの業務や課題でしたが今までは電力事業本部と戦略事業本部とで別々に進んでいたプロジェクトが今後は融合し、中には一緒のプロジェクトを追いかけているものもあります。その意味では、技術本部としても今まではWatts中心になっていたところを、BitsやMobilityのことも勉強し、橋渡しになるような形で各プロジェクトのサポートをしていきたいと思います。

15. Saito_2_ND6_7321_rs.png 鈴木: 我々が事業を推進する上で、パートナー企業や銀行、取引先など、さまざまなステークホルダーが存在しています。それらプロジェクトに携わるたくさんの方々に対し、まずは安定的な発電所の運営を行うという責任を果たすことと、またそれらの方々からご理解とご協力を得られるように有益な情報を積極的に発信していくというところは、今後も変わらずやっていきたいと思っています。
経営管理本部の中には、ファイナンス、調達、SPC(特別目的会社)管理、財務会計など、いろいろな分野の業務が含まれています。法令なども含めて、我々を取り巻く環境は非常に激しい変化を遂げています。やはり会社を守るという意味では、そういう環境の変化にきちっと目を向け、取りこぼさずに着実に対応していくことが大切だと思っています。

16. Suzuki_2_ND6_7500_rs.jpg 神田: カーボンニュートラルの実現に向けて、社会経済の注目が再生可能エネルギーに集まっています。その中で、今後SBエナジーがソフトバンクグループの再エネ事業会社として担う役割は、ますます重要性を増していくことになります。
その役割、期待への責任を果たすためには、Wattsの川上資産の積み増しと電源多様化、CPPAの推進、Bits・Mobility事業が行っているVPPや蓄電リソースなどの各種実証から、実装フェーズへ向けた新規事業の取り組みを推進し、事業を拡大していかなければなりません。管理本部は、内部統制に関わるプロセスの整備、人材の採用・育成と社員満足度向上、コンプライアンスの推進、社内ネットワーク・システムの整備などを通じて、それらの事業活動をしっかりとサポートしていきたいと思います。

17. Kanda_3_ND6_6919_rs.png Q: 三輪社長と稲桝副社長は、SBエナジーのビジョンとミッションでもある、「自然エネルギーの普及促進」という大きなテーマにおいて、これからの10年とその先のビジョンについてお聞かせください。
三輪: ソフトバンクグループらしい貢献の仕方ということだと思います。つまり、「情報革命で人々を幸せに」に尽きるんですよね。人々を幸せにする情報革命、それを支える再生可能エネルギー事業ということだと思います。それは引き続き変わらない。これを、いろいろ工夫してやっていきます。その工夫の仕方は、何種類かあると思っていますが、やはり一つ目には、孫会長のビジョンとは切り離せない。SBエナジーという会社はそこがすべてのレゾンデートルだし、出発点でもあり、ゴールでもある。孫会長がソフトバンクグループの代表として言っている「AI革命の資本家」としての投資先が今後最大の電力需要家になってくるので、そこで「インフラのインフラ」であるエネルギー事業も工夫していきたいと考えています。
また、グループという観点では、ソフトバンクグループが持っている顧客接点は強みの一つなので、コンシューマーとのダイレクトリレーションシップを最大限に生かして、総合力でやっていきたいと思います。そして、カーボンニュートラルの達成に、より豊かで安全で美しい社会の実現に貢献していくということです。

18. Miwa_ND6_6963_rs.jpg 稲桝: この先10年は、我々は本当にBMW戦略に自信を持つべきだと思います。我々の事業の拡大のためにBMWが必要というだけなく、我々は再エネの普及が社是みたいな形で、設立の目的なんですよね。でも、例えば太陽光発電の設備を作りまくれば自然エネルギーが普及していくのかって言えば、そうではないですよね。作りすぎれば、出力抑制の対象となる。
我々は再エネの設備を作るところからスタートしたけれど、作るだけでは不十分で、普及させるためにはバランシングが必要だということに気付いた。バランシング能力が高まることが、再エネの普及に即する。そして、バランス力を上げるための強力な機能が蓄電池で、それこそがエネルギーのタイムシフトを実現させるものなのです。要は、再エネを普及させるためには、再エネの設備を作りながらもバランス機能を増強し、そのために蓄電池も普及させることが必要なので、結果として世の中に再エネを普及させる近道は、この3つを同時並行的に進めることだと気付いたので、我々が標榜するBMW戦略は、ここから来ています。でも、今がそうであっても5年後もそうかといったら違うので、この先もずっとその3つをバランスよく手がけていくことが中長期的な目標であり、それによって世の中の再エネ普及に寄与するということなのかなと思っています。

19. Inamasu_ND6_7291_rs.jpg Q: グループとしての大きな目標にASGの実現がありますが、現在、構想はどのような状況でしょうか。
三輪: 現在粛々とスタディを続けています。やはりタイミングがあって、ASGは国家が絡みますし、政策が絡む。簡単にはいかない。韓国電力公社や、中国の国家電網公司との関係もキーとなります。その辺のスタディも愚直に継続していつでもアクセルが踏めるように準備しています。

稲桝:
この構想はいつ実現できるかはわかりませんが、いつかはできるだろうと思います。期限を区切ると、その通りにいかないのが普通なので、やっぱり期限は設けずに、基本的には最終的なゴールとしてそこに到達できればいいなという感じで、進めるべき事業だと思います。


Q: 自然エネルギーの普及促進を通じて、SBエナジーが目指しているのはどのようなことでしょうか。
三輪: 今まで通り再エネを開発し、川上のリアルアセットを積みつつ、川上・川中を組み合わせた新しいバランシング事業を工夫していくことだと思います。カーボンニュートラルに対してさらに主体的に貢献していきたい。本当に豊かな社会ってそこだと思うし、それに尽きます。

稲桝: 自然エネルギーで見るべきポイントは、バッテリーストレージを合わせたコストでのグリッドパリティだという話がありますが、だからこそBMWであり、VPPなんですよね。発電設備を作ることだけで行ってしまうとバランシングを崩してしまう。バランスを保つには、蓄電池が必要です。では発電所に蓄電池を設置するのかというとコストが高くなってグリッドパリティでなくなり、結果として再エネの普及を阻害するようになってしまいます。
「一つの発電所に一つのバッテリーで」みたいな考え方では再エネの普及を阻害してしまうので、今世の中に広く遍くあるバッテリーをうまく活用し、もっとコスト抑制を実現できるのがVPPであり、Mobility事業です。これらをバランス良く進めていくことが、結果的にグリッドパリティに寄与して、再エネの普及にも寄与するというのが我々の根本的な考え方ですから、やっぱりそこに行きつくと思います。

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ソフトバンクグループのエネルギー事業の歴史:
・2011年〜2016年を振り返った前編はこちら
・2017年以降を振り返った後編はこちら

経営陣インタビューシリーズ:
・第1回:奥 朝子 CBO 兼 電力事業本部長
・第2回:守屋 伸祐 CSO 兼 戦略事業本部長

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